概要

 この古民家は栄区鍛冶ヶ谷の小岩井家が使用してきた家屋です。小岩井家は鎌倉幕府創設以来、46代目との伝承があります。小岩井家も鍛冶ヶ谷村の 名主を勤めていました。極めて古い家系で建物も貴重な文化財であります。地域的にも鎌倉街道に面し、鎌倉との関わりが深く、かつて小岩井六郎兵衛は圓覺寺洪川老師 に謁し禅門に入り弟子の礼を取る、多く法を学び、老師遂に居士号、曰く豊翁を授け られました。又同寺住職をして同家の横井戸は名水であると言わしめたと言われています。 
 同家の菩提寺は證菩提寺です。鎌倉幕府滅亡の時に、此の地でも極めて悲惨な光景がありました、この頃小岩井家も此の土地を離れ難を逃れ、江戸時代に此の土地に戻ってきました。 当地域は黒船来航に際し沿岸防備などに関わりが深く古文書にも明らかです。又同家はペリー来航の折り、万ーペリーが久里浜から出立などある時は休息所として使用されるかも知れないとして座敷の手入れをされたとの話があります。記録として 発見されていまので、さだかではありませんが、伝聞として残っている様です。
 此の地は3度山火事があり焼けた家がありますが、同家は火災から免れました。 又関東大震災では多くの家が倒壊しましたが、同家は被害を受けなかったと伝えられています。
(冊子「古民家のしおり」より)

About Hongo Fujiyama Park "Old Private House"

This building was constructed approximately 170 years ago in a traditional Japanese residential architectural style.
It was built using natural materials such as wood, bamboo, paper, reed, soil, stone, and a small amount of metal, which was considered expensive at the time.
The building has a total floor area of 154㎡ and consists of eight rooms, each separated by sliding doors made of wood and paper.
By removing all of these sliding doors, the space can be transformed into a hall suitable for ceremonies such as weddings or funerals.
This building has been designated as a Tangible Cultural Property by the City of Yokohama.
The designation was granted because the former owner served as the village governor, many historical documents have been preserved within the house, and the architectural style is considered historically valuable.
It is now open to the public as a cultural heritage site.

古民家歴史探訪

古民家や周囲の歴史やその当時の風俗等をまとめて、定期的に発行している資料をご覧いただけます。

古民家ミニ博物館

古民家に関連する、建物・道具・文化歴史等に分けて様々なトピックをまとめています。

古民家パンフレット(旧小岩井家)

古民家ゾーンマップ

施設名をクリックして詳細ページをご覧ください。

主屋間取り図

茶の間

 茶の間は板敷きで囲炉裏があり、カマドも近くにあります。今でも、ボランテイアの皆さんが、日曜日に薪を焚いています。囲炉裏を囲んで、昔語りのひとときでくつろいでいる様子が見て取れます。
 茶の間は家族の日常起居の部屋であり、食事をとったりするくつろぎの場でした。
 なお、茶の間の上には大きく曲がった箴子梁があります。

大黒柱

 大黒柱は、土間のほぼ中央左手に、板敷きの茶の間と広間の間の一番目立つ場所に建っています。材料はケヤキで太さは38cm×36cm 高さ5.4mです。
 解体時に大黒柱上の束柱に釘打ちされていた棟札によれば、弘化 4年 (1847) に上棟されたことが記されていました。

土間

土間は三和土(たたき)仕様です。三和土は真砂土、中塗土、消石灰を混ぜて作り、施行は4層重ねになっています。

跳ね上げ戸

 壁一面が跳上げ式の板戸で、中座敷側は襖紙が貼られています。板戸を跳上げると、中座敷と仏間が続き間になります。市内の民家では他に類例のない独特の形式です。

かまど

 大釜、中釜、小釜の三連のカマドで「三つべっつい」とも云われます。日干し煉瓦状に土を積上げ、荒木田土を塗ったものです。

上座敷

 上座敷は床の間、附書院が配された最も格式の高い部屋で、客間として使われました。移築前は床の間を背に座ると富士山が眺められました

厠(かわや)

 座敷の奥にあり客用のトイレです。通常は使用できません。

大戸

 表の大きな戸。一間の板戸で片引き。敷居が高く跨いで入ります。大戸は頑丈で重く開閉が大変なため夜間の出入りのため片隅に小さな潜り戸があります。

式台

 式台は身分の高い人の公式の出入口で、一般の農家には無いものです。式台奥には壁を朱色に塗った座敷を三室並べ、客室として使用していました。

内蔵

 主屋解体時には老朽化で存在しなかったのですが、新築時の家相図 〈弘化4年 (1847) 〉 を参考に再現した防火用建物です。
 衣類・客用食器類・文書など大切なものを収納していました。
 主屋から渡り廊下で行くことが出来ます。現在は古民具や小岩井家に保存されていた高札の写真などを展示しています。
 内蔵には小岩井家からの品々、収集したり寄贈された古民具類が展示されています。是非ご覧ください。

箴子梁・屋根裏

 土間から天井裏を見ると重層的な建物構造を見ることが出来ます。茶の間の上には大きく曲がった箴子梁が見えます。また茅葺屋根の裏側を見ることが出来ます。竹と縄とを用い簡明かつ美しく仕上げています。

槍床

下座敷、槍床

 領主または代官クラスの外出の際は、中間に槍を持たせる事になっていました。視察にきた際、その槍を置いた場所です

厨子二階

中庭から見た厨子二階の明取り窓

 広間・仏間・納戸の二階部分にあり、明取り窓のある屋根裏部屋です。一般的には物置場や使用人の寝室として使用されますが、当家では薬草の乾燥場として使用されていたようです。
 現在の逗子二階は、雛人形や五月人形などの保管倉庫として使用しているため、階段は安全のため外してあります。通常は上がれません。

古民家ゾーン各部の詳細

長屋門

江戸時代末期の建物で寄棟茅葺屋根の表門です。

長屋門全景:観音扉内開きですが、江戸時代は通常閉められておりました。特別な時のみ開けて出入りしました(役人の来訪・正月の年賀)。

門構え:門扉右脇に内開きの小さな扉があります。通常はこの扉から出入りをしていました。

飾り金具:門扉・潜り戸共に饅頭金具(乳金具)、入八双・目板が取り付けられ風格のある重厚な扉になっています。

納屋-右(西側):農具等を収納、右壁に明りとり通風を兼ねた窓があります。

穀倉-左(東側):床は板張りで、年貢米や豆類など穀物を保管貯蔵していました。室内右には二階屋根裏物置に通じる階段が付いています。

前庭

 約3百坪(1000㎡)の広さがあり、穀物の乾燥や年貢の時期にはお米の計量が
行なわれました。現在はイベント広場として使っています。

日本庭園

 枯れ流れと呼ばれる庭園です。
 八幡神社の森が借景となり美しさをより引き立てています。水の無い時でも風情が楽しめます。
水琴窟:庭の一角に水琴窟完成 (2016/6/27)
そしてその音色は?

花壇

 花壇では、江戸時代から親しまれた日本の植物を育てています。四季に応じた花がお楽しみいただけます

横井戸

 旧小岩井家は屋敷が山裾にあった関係で横に穴を堀り水源を求めました。これを横井戸と称しています。

 旧小岩井家の屋敷地は、このふじやま丘陵の北西のすそを切断して平坦地を造っており、飲料水はその切断された断層(土丹どたん粘土相)に横井戸を掘ってつかっていました。
 開口1.4m、高さ1.6m程度の横井戸は、5mほどはいったところで二股に分かれ、現在は反対側を埋め戻したため確認できませんが、かつては北東250m程に位置する八幡神社(本郷ふじやま公園西隣)までつづいていたといわれています。
 横井戸の水は、ふじやまの地層で自然濾過ろかされた雨水が天井面からしたたり落ちたもので、この水を横穴の二股に分かれた各々の入口に設けた高さ60cm位の堰板せきいたで一度貯水しています。そして、堰板からあふれた水を、側溝(水道みずみち)に流し、横井戸入口脇の掘り込み式の水溜に溜めます。この水溜から水をくんだり、野菜を洗ったり、生活用水としてしようしていました。現在は、飲料水として使用されていませんが、かつてここを訪れた鎌倉圓覚寺住職が名水とたたえたという和歌がのこされているほどおいしい水でした。
 横井戸内部は、湿度の変化が少なく食料保管に適しているため、むろ(貯蔵庫)としても使用され、貯蔵庫は堰板手前で地盤を1段上げていました。
 ふじやま周辺のほとんどの民家は、かつて横井戸を有しており、横井戸が生活用水の供給並びに食料貯蔵の場として、生活と密接に関連していたことが分かります。

事務所

 事務所には、常時2名のスタッフがつめており、公園の紹介・情報の提供などを行っています。また、園内案内図や旧小岩井家住宅の
リーフレットを準備しております。古民家めぐりのスタンプラリースポットにもなっています。
 ご希望があれば古民家の解説も行なっています。